ルーマニアのシェンゲン本格加盟の可能性と滞在許可発行基準の厳格化

来月6月に欧州理事会がルーマニアの部分的なシェンゲン本格加盟を発表すると、在ドイツ・ルーマニア大使が述べています。ルーマニアは現在もシェンゲンに加盟していますが、主にオランダとベルギーの反対で実際の施行はなされていません。おそらく当面は空港からの入域に限られるという話も流れていますが、今のところ確定的な情報はまだ出ていません。ただ、以前Hemenadoaのサイトに書いたように2019年6月まではルーマニアが欧州連合理事会議長国なので、最後の月にその発表をする可能性はあります。

ルーマニアがシェンゲンに本格加盟すると、ルーマニアのビザ所有者は他のシェンゲン圏に自由に行き来し、他のシェンゲン加盟国に滞在している期間も永住権申請の準備期間としてカウント出来ることになります。これは一見朗報のように聞こえますが、反面ビザ取得の要件が厳しくなる可能性があるということも示唆しています。ルーマニアを玄関口として他の加盟国に大量の移民が流れ込むのを防ぐためです。

ルーマニアのシェンゲン本格加盟と並行して、現在EUで起こっている変化はBrexitです。イギリスがEUから取り決めをまとめることなく離脱した場合、他のEU加盟国にはどういう影響があるのでしょうか。

これについて、ルーマニアの移民局はサイトでこのように述べています。
ルーマニアはルーマニア国内に既に移住しているイギリス国市民とその家族の居住権を守るため、従来どおりの滞在権利を2019年3月29日以降も延長するものとする。延長の期間は暫定的に2019年12月31日までとするが、当該市民の滞在権利を守るために規範を策定するものとする。
ただし、イギリスのEU離脱後にルーマニアに移住するイギリス国籍保有者については第三国市民として扱うものとする。

つまり、現在既に住んでいるイギリス人については原則として現行のルールを適用するが、Brexit後に移住しようとするイギリス人に関しては例えばトルコやエジプトなどのEU外や特定の協定を結んでいない国の市民と同様に扱う、ということです。

このスタンスがシェンゲン本格加盟後にも適用された場合、現在特例を享受している日本人やアメリカ人、カナダ人やスイス人には原則として現行のルールが適用されるが、シェンゲン本格加盟後に滞在許可を申請する場合は新しい(より厳格な)規則が適用されると推測することが可能です。

仮に現在の特例が外された場合、50,000€以上の投資かそれ相当の資産を保有しており、また10人以上の現地人を雇用して100,000€以上の現金資産を保有していることなどが条件として適用されます。また、テクノロジー分野での会社であること、そしてこれらの条件が常に満たされていることが3年間監査対象になります。

仮に6月の欧州理事会でこれが発表された場合、実際の本格加盟は9〜12月になる可能性があると思われます。空港でのパスポートスタンプなどが現在既にシェンゲン圏と同じものが使われるなど準備は整っているためです。

現在既に、世界的な納税番号の普及からルーマニアで会社を作る場合でも日本のマイナンバーが必要になっています。これは会社の資本金を預けるための特殊な口座(Share capital account。普通の口座のようには使えない)を開く際に必要です。既に検索端末が接続しているようで、間違った番号を提出すると無効になります。ただし、会社登記の手続きをAdelina弁護士などに委任し、Adelina弁護士が本人の代理で銀行の窓口に行く場合に限り、代理人であるルーマニア人弁護士の個人番号で代用出来ます。Share capital accountではなく通常の口座を開く場合にはマイナンバーが必要です(ごく一部の銀行ではルーマニアの滞在許可証の番号で代用可)。従って、今の段階で既に会社登記を行うには日本のマイナンバーを登録するか、弁護士に委任するかの方法しかないことになります。ビザだけに限らず、会社登記のプロセスでもシェンゲン本格加盟に伴って厳格化する可能性があると見ています。

注;本ブログの記事内容はアデリーナ弁護士事務所の見解とは関係がなく、一切の責任を負いません。

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